2009.6.19「福祉施設・保育所の最低基準・・・」陳情賛成討論原稿
陳情第20-10号 福祉施設・保育所の最低基準を維持し、保育所の直接契約方式を導入しないよう、国に対し意見書採択を求める陳情書について賛成討論をさせて頂きます。
日本共産党は、4月23日の衆院厚生労働委員会で、待機児の急増など保育所不足が深刻化している問題で、保育への公的責任を後退させてきた政府の責任を厳しく追及しました。これは2007―2008年の間に、私立保育所が336増えたが公立は275減り、全体で0・3%しか増えなかったことです。
公立保育所の運営費の一般財源化など、政府の施策にその原因があります。
また、政府が進める保育制度「改革」のなかで、児童福祉法で定められた「市町村の保育実施義務」をなくすかどうかが焦点となっていることで、「保護者のよりどころがなくなる。基本を変えるべきではない」と強く求めました。舛添要一厚労相は「市町村の責務が後退しないことが前提だ」とこれに答えました。
また制度「改革」で市町村が保育の必要量を認定するとされていることについて、細切れ雇用の労働者などは必要量が低く認定されないか?。サービス量の上限が決められ超過分は自己負担となったり、必要量の多い人ほど負担が重くなるなどの懸念を挙げ「これでは介護保険のように『保険あってサービスなし』になりかねない」と指摘をしましたが、厚労省の村木厚子雇用均等・児童家庭局長は「フルタイムでも短時間雇用でも保育が必要なら供給されるようにしたい」「子どもの生活の連続性も考え、保育の必要量を適切に認定したい」と述べつつ、「具体的にはこれからの検討だ」と答えています。つまり問題山積を認めています。
そもそも児童福祉法24条で、市町村は「児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申し込みがあったときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない」と、市町村の保育の実施責任を明確にしています。
これは、保育園を紹介すればそれですむということではないのです。日中、保護者が世話をすることのできない状態の子供については、「市町村」が保育を保障しなければならない、という内容なのです。これは、児童福祉法ができたときに、たいへん強調されました。日中、親が仕事などで家にいないために、子どもたちが街をうろついたり、放置されたり、危ないからと柱に縛り付けられるなど、子どもの人権を無視した、子どもを危険にさらすような状態を行政として放置してはいけないということで、この条項ができているといえます。
この条項では、住民に一番近い市町村に実施責任が課せられています。保護者が保育に欠ける状態にある場合は、市町村は親が選んだ公立・私立の認可保育園に保育保障の委託をしなくてはならないのです。大事なことは、保育園はどの子にも同じサービスを提供する、ということです。だから保育料は、園にではなく、市町村に払うわけです。市町村は、運営費を園に払います。運営費は平等に支払われ、同一のサービスが提供されます。つまり、保育料が安いから保育内容を削る、ということはありません。またリストラなどで保育園の支払いが遅れたり、支払えないなどの場合も保育園を退園させることはできません。いかなる場合でも保育に欠ける状態にある子どもの保育は市町村が保障しなければならないのです。幼い子どもにとって大切な条項なのです。だから大事なのです。
政府が閣議決定した「規制改革推進のための3カ年計画」では、保育園と保護者の「直接契約」方式の導入など、これまでの保育制度を大きく変える方向を打ち出しています。強制力のある「最低基準」を廃止して「ガイドライン」にしようとしている訳ですが、この国のしめすガイドラインには、自治体や国に遵守させる強制力もないし、国の財政負担の責任もなくなるもので、すべて自己責任として片付け、国や自治体の責任を放棄するものであります。このことは広く一般保護者の利益、並びに、子どもの人権擁護の立場から許せないものです。したがって、陳情第20-10号 福祉施設・保育所の最低基準を維持し、保育所の直接契約方式を導入しないよう、国に対し意見書採択を求める陳情書は、大事な主張であり賛意を表明し、本日採択することを求めるものです。
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