2012.12.21議案第62号 福生市国民健康保険税条例反対討論原稿
議案第62号 福生市国民健康保険税条例の一部を改正する条例について
日本共産党会派を代表して反対討論を行います。
今回の改定案では賦課方式を4区分から2区分に改めます。資産割廃止で約6,300万円、平等割り廃止で1,400万円、併せて7,700万円が減収となり、その分値上げを上乗せすることになります。この部分は何回かに、分割して負担を和らげるなどの手だてを講ずるべきでした。
結果2方式による所得割で、4%から4.7%と、0.7%の引き上げ。均等割で18,000円から24,000円と、6,000円もの大幅引き上げです。
45歳夫婦、こども2人、給与収入でおよそ312万円、所得200万円、固定資産税なしのモデルだと、257,770円から292,260円へと、34,490円、率で13.4%と、前回、平成22年の10%値上げより高い負担増となっています。収入に占める国民健康保険税の負担割合は9.37%、所得に対しては実に14.61%と異常な負担割合です。子育て世代の生活圧迫は相当きついものです。
国民健康保険税では長いので、以下、国保税、制度は国保と省略致します。
福生市の国保税では7割、5割、2割軽減の適用がありますが、該当からはずれるすれすれの世帯には、引き上げ額が重くのしかかります。平成24年度の福生市の延べ滞納者は5,895世帯、国保世帯が11,950世帯ですから、約半分の世帯が滞納した事がある勘定になり、ここも異常です。同時期の羽村市の延べ滞納者が2,625世帯、国保世帯が9,687世帯ですから27.1%です。この比較でも福生市が如何に多いかが分かります。この値上げにより払いたくても払えない滞納者が、これ以上増えないか心配です。
平成22年の国保引き上げの年、4月1日前年比で40歳未満の人口が1,880人も流出してしまいました。その後もこの年代層が平成23年814人、平成24年828人減少です。福生市の将来を支える若い世代が、これ以上流出することは好ましくありません。国保値上げが原因との裏付け資料はありません。その一因ではないことを祈りつつ、このような子育て世代直撃となる大幅な、国保税の引き上げには反対であることを先ず表明致します。
日本の医療保険は、1958年に現行の国民健康保険法が制定され、1961年に施行されたことで「国民皆保険」といわれ、この時点で国民がいずれかの医療保険に加入していることが原則とされました。
国保は、「社会保障及び国民保健の向上」(国保法第1条)を目的とし、国民に医療を保障する制度です。国保は国民の約4割が加入する公的医療保険、最大の医療保険、国の根幹をなす制度、誰しもが国保加入者となる可能性があるなど、医療保険の「最後の砦」といえます。ところが重大なことに、全国の滞納世帯は加入者の20.8%、保険料・税を「特別の事情」がなく1年以上にわたり滞納しているとして正規の保険証が取り上げられ「国保資格証明書」が交付されている世帯は、2009年6月1日現在約31万世帯にのぼり、その後も上昇し続けています。国保が国民の生活苦に追い打ちをかけ、人権や命を脅かすことなどあってはなりません。日本共産党は、国民の命と健康、暮らしを守り、国保の本来の役割を取り戻すため、国、自治体に対し、緊急に国による国保税引き上げの押しつけをやめ、引き下げに転換するよう強く求めて行く決意です。
国保の加入対象者、被保険者は、職場の健康保険の被用者保険加入者・後期高齢者医療制度の対象者・生活保護受給者以外はすべてであり、具体的には、自営業者、農業・漁業従事者、退職し被用者保険を脱退した人やその家族、パート、アルバイトで働いて、被用者保険に加入していない人、日本に1年以上滞在を認められた外国人登録者で、かつ被用者保険に加入していない人などです。
国保の加入者は、1980年代までは自営業者の割合が高く、1985年度でも自営業者が30.1%、被用者が28.7%、農林水産業13.5%、無職者23.7%、その他4.1%でした。ところが、年々「無職者」の割合が増加し、後期高齢者医療保険制度で75歳以上の方がはずれる直前の2007年度で、自営業者が14.3%、被用者が23.6%、農林水産業3.9%、無職者55.4%、その他2.8%で、無職者が55.4%と、ついに過半数を超えています。国保が多くの無職者を抱え「社会保険」としての機能を果たせなくなってきている現状がここにあります。
もともと、国保は「私的保険」のように保険料だけで制度を維持するものではなく、社会的扶養、公費負担、事業主負担等を加味したものでなければなりませんが、年々国保料・税の負担割合が高くなる傾向にあり、2002年度に平均所得に占める国保料・税の割合が8%を超え、払いたくても払えない状況が拡大しています。国保はもともと、このように国費で支える必要が高い、脆弱な基盤の制度であるため、1979年大平正芳内閣の時代では、市町村国保総収入全体の64.2%を国が負担していました。
ところが、大企業、大金持ち優先の財政運用の為、1984年中曽根康弘内閣の時代に国保法を改悪し、国保の医療費部分への国庫負担率を45%から38.5%に引き下げ、その後も国の負担額をどんどん引き下げ、2007年阿倍晋三内閣時代に市町村国保総収入に占める負担を25%にまで引き下げてしまいました。しかも、自民党、公明党政権、つづく民主党政権で、中小企業政策や雇用政策での長期間の失政なども重なり、事業者の収入が激減、失業者が増大し国保財政が、一層危機に瀕しているわけです。
このため多くの市町村は、国保税の高騰を抑え、自治体独自の減免などを行うため、一般会計から国保会計に国の基準、法定額以上の公費を繰り入れています。
1人当たりの繰入額でみますと、平成23年度確定額で福生市4万3,438円、羽村市5万4,013円と、支えているわけです。この数値でもわかるように、福生市と羽村市を比べると1万575円も福生市が少ない現状があります。
さらに、今回の一般質問等を通じて明らかになったことですが、平成23年度羽村市との1人当たり比較で、医療費分の支出が福生市264,656円、羽村市285,312円と、20,656円も福生市が少ない事実。医療費分の26市比較でも、福生市は25位、羽村市6位と、福生市民の医療費節約は大変なものです。
同じ平成23年度で、保険税は福生市68,035円、羽村市70,065円と2,030円負担が少ないだけです。福生市の国保加入者平均所得が150万円に対して、羽村市は163万円、負担能力が平均で13万円も少ないのです。しかも、福生市での平成24年度平均所得はさらに5万円減少の145万円とのことです。
日本全体でも、総務省の家計調査によれば、1世帯当たり実収入が1997年、橋本龍太郎内閣の時をピークに102万円も減少しているそうです。
市民の厳しい現実を考えるとき、福生市が負担軽減を図ることは極めて重要です。せめて医療費の節約分だけでも値下げすべき事を、一般質問の中でも提案しています。
国保運営協議会への諮問において、保険税が26市中低いこと、繰入水準が高いこと、税のバランスなどが理由で、今回の値上げの答申が出されたとお聞きしました。
26市中国保加入者の平均所得が常に26市中最下位か、最下位から2番目であることは論議されていないとの回答もありました。大事な視点が欠けた論議による結論といえます。国の悪政を市民へ垂れ流すことは、するべきではありません。
一方、東京都も石原慎太郎都政誕生の1999年から市区町村国保への独自支出金を大幅に削減、一人当たりで1998年度7,799円が2010年度では1,082円と、6,717円も減らしてしまいました。
国や都に本来の責任を果たさせる働きかけを強めるととともに、国や都がやらない間は、市民全体で医療保険の「最後の砦」を守り、支える立場から一般会計の繰入を現状増やし、値下げこそするべきであります。
以上のことから議案第62号福生市国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対であることを表明し、反対討論といたします。
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント